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令和6年度税制改革において、住宅ローン減税の制度内容が変更されています。こちらの記事では、どのような点が変更されたのかを解説しています。また、住宅ローン減税の適用条件についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
住宅ローン減税で変更になった点は下記の通りです。
新築住宅のうち、省エネ基準を満たさないものは控除の適用外となります。具体的にいうと、借入の対象となる住宅が2024年1月以降に建築確認を受けたものである場合には、「エネルギー消費量」「断熱性能」など一定の省エネ基準を満たしていない場合には、住宅ローン控除は適用されません。
これは地球温暖化などの課題解決に向けて、住宅についても国が省エネルギーに関する対策を強化しているためです。ですので、2024年からは新築住宅において省エネ基準の適合が求められるようになっています。
子育て世帯(19歳未満の子どもがいる世帯)や、若者夫婦世帯(夫婦のうちいずれかが40歳未満の世帯)における、借入限度額の縮小が見送られています。子育て世帯に対する支援の強化や、住宅価格の急激な上昇から、子育て世帯・若者夫婦世帯に対しては、省エネ基準を満たしていない「その他の住宅」を除いて、借入限度額の縮小が行われないことになっています。
省エネ基準を満たしていない新築住宅や買取再販住宅の場合は前述の通り住宅ローン控除を受けられません。しかし、その他の場合は2024年中の入居であれば2023年までの借入限度額が維持されることになります。
新築住宅の要件緩和措置における建築確認期限が延長されています。ここでいう緩和措置とは、「床面積が50㎡以上」の住宅が住宅ローン控除の対象となっていますが、合計所得金額1,000万円以下の人が新築住宅を購入する場合には、床面積の要件が「40㎡」に緩和されるという内容です。この緩和措置を受けるためには、2023年12月31日までに建築確認を受けたものが対象となっていましたが、2024年12月31日までに建築確認を受けたものへと変更が行われています。
令和6年度の税制改正後の住宅ローン減税の概要は下記の表の通りとなっています。
住宅の環境性能等 | 借入限度額 | 控除期間 | 床面積要件 | ||
---|---|---|---|---|---|
令和6年入居 | 令和7年入居 | ||||
新築住宅 買取再販 (※1) |
長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
子育て世帯・若者夫婦世帯:5,000万円 その他の世帯:4,500万円 |
4,500万円 | 13年間 (※2) |
50㎡ (※3) |
ZEH水準省エネ住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,500万円 その他の世帯:3,500万円 |
3,500万円 | |||
省エネ基準適合住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,000万円 その他の世帯:3,000万円 |
3,000万円 | |||
その他の住宅(※2) | 0円(※2) | ー | |||
既存住宅 | 長期優良住宅・ 低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 | 10年間 | ||
その他の住宅 | 2,000万円 |
引用元:国土交通省 | 住宅ローン減税
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html)
※1:宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住家屋。
※2:省エネ基準を満たさない住宅。令和6年以降に新築の建築確認を受けた場合は住宅ローン減税の対象外。(令和5年末までに新築の建築確認を受けた住宅に令和6・7年に入居する場合は借入限度額2000万円・控除期間10年)
※3:新築住宅の場合、令和6年末までに建築確認:40㎡(所得要件:1,000万円)
ここまで、住宅ローン減税の変更点についてご紹介してきました。まとめると、住宅ローン減税の適用条件は下記の通りとなります。
新築住宅購入の場合、対象住宅が一定の省エネ基準に適合しているほか、下記の条件を満たす必要があります。
中古住宅の場合、上記でご紹介している新築住宅の適用条件に加えて、下記に記載したいずれかの条件を満たす必要があります。
リフォームや増築を行った場合には、新築や中古住宅の場合と比較すると、さまざまな点で注意する必要があります。上記の新築住宅の適用条件に加えて、下記のいずれかの工事に該当することが条件となっています。
また、工事費用の額は100万円を超える※必要があります。※1つの工事にかかった金額で判断されます。
既存の住宅を不動産会社が取得し、リフォームして販売する住宅を買取再販住宅と呼びます。こちらのケースにおいて住宅ローン控除の適用を受けるには、共通条件に加えて下記の条件を満たすことが必要です。
住宅ローン減税では、下記のうちいずれか低い額が所得税や住民税から毎年控除される形となります。
※住宅の取得などにおける対価の額または費用の額(所定の補助金や贈与などの金額が控除される場合がある)のほうが少ない場合は、その取得等の対価の額または費用の額となります。
確定申告は毎年2月16日から3月15日の間に行いますが、申告の際にはさまざまな書類が必要となります。ここでは、どのような書類が必要となるのかを見ていきましょう。
住宅ローン減税の適用を受ける1年目は、下記の書類を揃えて確定申告を行います。
どのような住宅を取得したかによって必要書類が変わってきますので、よく確認した上で早めに準備をしておくことが大切です。
2年目以降の手続きを行う場合にも必要な書類があります。また、「会社員」「会社員以外」で用意する書類が変わってきますので、自分に当てはまる方を確認してください。
会社員は、2年目以降については勤務先で行われる年末調整によって住宅ローン控除が適用されます。そのため、確定申告は不要ですが下記の書類を勤務先に提出することが必要となります。
「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」は、最初に申告をした年に税務署から交付されます。
会社員以外で年末調整を受けない場合には、2年目以降も確定申告を行う必要があります。その場合の必要書類は下記のとおりとなります。
住宅を建てる、或いは購入する場合には、住宅ローン減税を利用したいと考える方は多いでしょう。2024年1月から変更になった部分を踏まえ、減税が適用されるためにはどういった条件を満たす必要があるのか、きちんと把握しておくことが大切です。
下記のページでは、不動産を購入する場合にあらかじめ知っておきたい減税制度について紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。