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不動産の購入に対して税金の優遇を受けられる、さまざまな減税制度が設けられています。減税制度は自分で手続きしないと適用されないことがほとんどのため、知らないと何十万、何百万と損をしてしまうことも…。高額な費用を必要とする不動産購入は減税効果も大きいため、減税制度についてしっかりと押さえておきましょう。
住宅ローン減税は住宅ローンを利用して住宅を取得する人を対象とした制度で、取得者の金利負担の軽減を目的としています。
毎年末の住宅ローン残高もしくは住宅の取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の1%を10年間または13年間に渡って所得税から控除することが可能。減税制度のなかでも控除額が最も大きくなる可能性がある制度です。住宅ローン減税は新築だけでなく、中古物件やリフォームでも利用できます。
住宅ローン減税を利用できる要件は以下の通りです。
住宅ローン減税で注意したいのが、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、省エネ基準に適合することが住宅ローン減税を受ける必須要件となります。省エネ性能に応じて住宅ローン控除の借入限度額が異なり、申請には省エネ基準に適合していることを示す証明書が必要です。
すまい給付金は、消費税率の引上げによる住宅取得者の負担軽減を目的に創設された制度です。
住宅ローン減税の場合、支払っている所得税から控除される仕組みのため、収入が低い人にとっては控除の恩恵が少ないというデメリットがありました。すまい給付金は住宅ローン減税による負担軽減の効果が十分ではない収入層を対象としており、収入によって給付額が変わる仕組みになっています。
消費税率8%時は最大で30万円、10%時は最大50万円の給付金を受け取ることが可能。すまい給付金が適用される主な要件は以下の通りです。
※1…夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子供が2人のモデル世帯において住宅取得する場合の夫の収入額の目安
※2…10%時には、収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の要件が追加
引用元:すまい給付金(https://sumai-kyufu.jp/outline/sumaikyufu/index.html)すまい給付金は、新築または中古再販住宅か、住宅ローンを利用しているかで給付要件が異なります。消費税が非課税となる個人間売買の中古住宅は、すまい給付金の対象外です。詳しくは、すまい給付金の公式HPでご確認ください。
贈与税非課税措置は、父母や祖父母など直系尊属にあたる家族から新築住宅の購入または増改築等のための資金贈与を受けた際、一定金額まで贈与税が非課税となる制度です。贈与税非課税措置で定められている非課税限度額は以下の通りになります。
※東日本大震災の被災者の非課税限度額は、質の高い住宅につき1,500万円、それ以外の住宅(一般住宅)は1,000万円になります。
参照元:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000018.html)贈与税非課税措置を利用できる主な要件を見てみましょう。
※1…合計所得金額が1,000万円以下の受贈者に限り、40m2以上50m2未満の住宅についても適用
参照元:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000018.html)そのほかにも細かな要件が定められているため、国土交通省のHPでご確認ください。
投資型減税とは、耐久性や省エネルギー性に優れた住宅を自己資金のみで取得する場合に所得税が控除される制度です。長期優良住宅および低炭素住宅が、投資型減税の対象になります。住宅の性能強化のために必要な費用(上限650万円)の10%相当額が、その年の所得税額から控除される仕組みです。
投資型減税制度における控除額の計算式は以下の通りです。
次に投資型減税の主な要件について見てみましょう
投資型減税の最大控除額は、平成26年3月までに取得した住宅が50万円、平成26年4月~令和3年12月までに取得した住宅は65万円です。控除を受けられるのは一度きりですが、控除しきれなかった分は翌年の所得税から控除されます。投資型減税の申請は入居後の確定申告の際に行い、さかのぼっての申請はできないので注意しましょう。
取得者の負担軽減による住宅取得・流通の促進を目的とした税率の特例措置で、不動産取得税の税率が3%(本則4%)に軽減されます。適用期限は令和6年3月31日までです。課税標準からの控除額は以下の通りになります。
不動産取得税の減税を受けるには、都道府県税事務所へ書類の提出が必要です。必要な書類は不動産取得税納税通知書や売買契約書、登記事項証明書など。都道府県によって詳細が異なるため、管轄の都道府県税事務所にお問合せください。
新築の建物や建物の所有者に毎年課される固定資産税の減税を受けられる制度で、一定の要件を満たす新築の戸建住宅・マンションが対象になります。新築住宅に対する軽減措置の内容は以下の通りです。
認定長期優良住宅に固定資産税の軽減措置を適用させるには、長期優良住宅の認定通知書(写し)の提出が必要です。自治体によって必要な手続きなどが異なるため、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。
住宅用地については、課税標準額が減税されます。用地の種類による減額の内容は以下の通りです。
中古の土地については住宅用地としてすでに減額されていますが、まれに軽減措置が適用されていない場合もあり。固定資産税納税通知書が届いたら、「住宅用地の特例を適用」などの記載がないか確認しましょう。
不動産の所有権が移ったときなど、法務局で登記を行う際に納める登録免許税の減額を受けられる軽減特例です。新築・中古を問わずに住宅を購入した人が対象となります。
登録免許税の減税を受ける主な要件と軽減特例の内容は以下の通りです。
土地の売買については、自動的に軽減税率が適用されるため、手続きの必要は特にありません。住宅に関する登記の場合は、登記申請の際にその住宅が所在する市町村等の証明書の添付が必要になります。 登記した後だと軽減税率の適用を受けられなくなってしまうため、注意しましょう。
高額の費用がかかる不動産購入は負担が大きいため、不動産の購入に対する減税制度は知っておいて損はありません。減税制度の利用を前提に物件探しをしてしまうと、希望する条件を諦めなければいけないことも…。長く暮らすことになる住まいだからこそ、希望条件に合う不動産を探したうえで、利用できる減税制度を検討するのがおすすめです。